"東芝解体 電気メーカーが消える日"を読んだ感想
- 作者: 大西康之
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2017/05/17
- メディア: Kindle版
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数ヶ月前に読んで面白かった本の紹介です。
タイトルは"東芝解体"ですが、東芝以外にもNEC・シャープ・ソニー・パナソニック・日立・三菱電機・富士通と、 日本の大手電機メーカー各社の繁栄と衰退の理由を分析しています。
内容を要約すると、
- 大手電機メーカーは大きく3つのタイプに分類される。
- 電力ファミリー・電電ファミリーは国民から徴収した電気料金・電話料金を分配することで安定した利益を得てきた。
- しかし、福島原発事故の影響で東電は弱体化し、電力ファミリーは崩壊。
- 電電ファミリーも、通信自由化でNTTの設備投資が減少したため、これまでのように安定した利益は望めなくなった。
- 東電とNTTに依存していた電機メーカーは競争力が乏しく、グローバル化の波に飲まれ弱体化していった。
といった感じでしょうか。
日本の大手電機メーカーの弱体化が叫ばれて久しいですが、 弱体化の原因を電力ファミリー・電電ファミリーの構造にあったという議論が個人的に面白かったです。 社会主義的な体制でぬるま湯につかっているうちに、気づけば競争力を失い、屈強な海外勢にボコボコにされてしまった というわけです。
最近ソニーやパナソニック、鴻海に買われたシャープなど独立系メーカーが躍進しているように感じられるのも、 御上に依存せずに商売してきたからなのかもしれません。
電機業界で働いている自分にとっては、他人事ではないのですが、戦後日本の特異な産業構造って面白いなあと思った次第でした。