AT's Blog

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"東芝解体 電気メーカーが消える日"を読んだ感想

数ヶ月前に読んで面白かった本の紹介です。

タイトルは"東芝解体"ですが、東芝以外にもNEC・シャープ・ソニーパナソニック・日立・三菱電機富士通と、 日本の大手電機メーカー各社の繁栄と衰退の理由を分析しています。

内容を要約すると、

  • 大手電機メーカーは大きく3つのタイプに分類される。
  • 電力ファミリー・電電ファミリーは国民から徴収した電気料金・電話料金を分配することで安定した利益を得てきた。
  • しかし、福島原発事故の影響で東電は弱体化し、電力ファミリーは崩壊。
  • 電電ファミリーも、通信自由化でNTTの設備投資が減少したため、これまでのように安定した利益は望めなくなった。
  • 東電とNTTに依存していた電機メーカーは競争力が乏しく、グローバル化の波に飲まれ弱体化していった。

といった感じでしょうか。

日本の大手電機メーカーの弱体化が叫ばれて久しいですが、 弱体化の原因を電力ファミリー・電電ファミリーの構造にあったという議論が個人的に面白かったです。 社会主義的な体制でぬるま湯につかっているうちに、気づけば競争力を失い、屈強な海外勢にボコボコにされてしまった というわけです。

最近ソニーパナソニック、鴻海に買われたシャープなど独立系メーカーが躍進しているように感じられるのも、 御上に依存せずに商売してきたからなのかもしれません。

電機業界で働いている自分にとっては、他人事ではないのですが、戦後日本の特異な産業構造って面白いなあと思った次第でした。